あなたの体の健康は、歯と口の健康から・・・。歯・口の情報についてご案内します。

認知症

口腔機能の低下は、脳神経系機能、消化器系機能、呼吸器系機能の低下につながります。

「咀嚼(そしゃく)できない=噛めない」状態の場合、人は食事をおいしくとることができません。

食事をおいしく食べることができなくなると、おいしいものを食べたいという意欲も低下してきてしまいます。

「おいしく食べる」ことは、「体の健康づくり」の基本です。

食事がおいしくない。楽しくない、食べたくない、食べない、食べられない。このような状態が続けば、身体的に健康を害するだけでなく、精神的にも落ち込み、活動意欲そのものも失いかねません。

「話す」ことは、人とのコミュニケーションをとる手段でもあります。

もう一つの口の機能は「話す、会話をする」ことです。

口腔機能が低下してくると、正しく発音ができなくなったり、話しづらいと感じるようになります。もしも自分が話している際に相手が聞き取りずらそうにしていると、会話をするのも億劫になります。

そして遂には、他人と会話をすることが嫌になったり、人と会いたくなくなるなど、活発な活動が阻害されることになり、コミュニケーションの喪失が生じてくることになります。

このように、活動意欲がなくなり、引きこもりがちで、家族や他人とのコミュニケーション喪失状態が続けば、脳が衰えやがては認知症になることにもなりかねないのです。

口腔機能の維持・向上は、認知症の予防になります。

これまでに述べたように、口腔機能の維持・向上に取り組むことはとても大切なことであり、そのため高齢になってから取り組むのではなく、若い時からしっかりと取り組んでおくことが大変重要であることは言うまでもありません。

しかしながら、もし、今あなたが、ご高齢であり、自分の衰えを感じていても、口腔機能の重要性を理解し、口腔機能の維持・向上に努める機会を得ることが出来れば今からでも遅くはありませんので、是非とも口腔機能の維持・向上に取り組んでください。

また、ご家族の方に口腔機能の低下が認められる場合や、認知症などの初期症状がみられる場合などでも、口腔機能向上に努めることで、良い兆しが見えるかもしれません。

脳を活性化させることが認知症症状の緩解や予防につながると考えられていますが、脳の活性化を図る方法の一つに「口腔ケア」によって口腔機能の維持・向上を図ることがあげられます。

認知症の方にも口腔ケアを行うと良いでしょう。

「口腔ケア」の効果が認知症の予防に深く関わっているという報告や、認知症者に対しても積極的に「口腔ケア」を施すことによって認知症状の進行を遅延させたり、回復させたりする効果があるという報告が昨今あっています。

認知症者に対して、器質的口腔ケアと機能的口腔ケアの両面からアプローチすることによって、口の中を清潔に保ち、また顎・顔面・口腔・頸部へのマッサージやストレッチなどを行うことで低下した口腔機能の回復が見られただけではなく、生活機能が向上した事例が報告されています。

「かかりつけ歯科医」に相談し、虫歯や歯周病等の治療を含めて口腔機能維持・向上を図るための訓練を受けることも良いのではないでしょうか?